
2012年12月09日
アトピー性皮ふ炎の原因 * 病院で勉強したこと

前回、ステロイド剤の使用についてお話をしましたが、
「 お話する順番がちがったかも (^_^;) 」
そう思い、今回からは、わたしがこの3年ほどの間に、
実際に、お仕事をしながら勉強してきたことを、
順を追ってお話していくことにしました。
参考程度に読まれてください。。。

『 アトピー性皮膚炎とは 』
2006年。
Nature Geneticsという科学誌に、
アトピー性皮ふ炎の原因が報じられたそうです。
アトピー性皮ふ炎の原因は遺伝子にあり、
フィラグリンというたんぱく質が、うまく機能していないために起こるもの。
フィラグリンは、角質層を構成するたんぱく質ですが、
その、何層にもかさなった角質どうしをむすびつけているのが、
フィラグリンです。


角質層は、皮膚の表面の、いちばん外側にあります。
さらに角質層の厚みは、わずか0.02mm 。
この、わずか0.02mmの角質層が、
身体の内部から水分が逃げてしまうことや、
逆に外部から有害物質が浸入することを防いでいます。
角質どうしをむすびつける、フィラグリンが少ないと、
角質のバリア機能がはたらかず ( 角質どうしが離れてしまい )
カサカサお肌になる、というものです。

カサカサお肌は、かゆみをまねきます。
かゆいと、かきむしってしまいます。
かきむしった場所は、炎症を起こして赤くなり、
さらにかゆみを悪化させる、という悪循環におちいります。
そこで、炎症を起こしてしまった最初の段階で、
しっかりステロイド剤で炎症をおさえ、炎症がおさまったところで、
もともとの原因となった、カサカサお肌に戻らないよう、
保湿ケア ( この段階では、ステロイド剤はいっさい使用しません ) をしましょう。
というのが、これまで聞いてきた内容の一部です。
つづく










2012年12月06日
ステロイド軟膏を使う場合

初となるイベントで、
お肌のトラブルや、食物アレルギーのご相談がありました。
今回は、医療従事者として、ナース目線で、
「 子どもさんに、ステロイド軟膏を使う場合 」 の
お話をしたいと思います。

「 カサカサ肌だけれど、できるだけステロイド剤は使いたくないです 」
そうですね。。。
ステロイド剤に抵抗のある方、そうでない方、
いろいろな方がいらっしゃいます。

わたしの考えは、

炎症を抑える治療をしたあと、ステロイド剤を卒業し、ふだんのケアを保湿剤のみにする。

無添加のクリームや、精油を使ったり、いろいろな方法を試していいと思います。
ただし、それはすべて自己責任となります。
という、この2つです。


炎症が起きている肌は、カサカサだけではなく、赤みがあります。

初めは2週間から3週間、くらいでしょうか。 少し長くなる場合もあります。
治療を始めて、きれいに治っていく子どもさんを見てきましたが、
こればかりは本当に個人差があります。。。

塗る量と、塗る回数、そして塗り方をしっかり守って、中途半端に終わらせないこと。

人間の体の皮膚は、頭から足先まで、すべて同じ厚さではありませんので、
皮膚の厚いところに塗る軟膏と、皮膚の厚さがうすいところに塗る軟膏は、
ステロイド剤のランクを変えないといけません。

そして、炎症が起きている、皮膚の厚さに合った軟膏を処方してもらうこと。
塗る量も、少ない量をうすく塗るのではなく、肌の広さに合った量を塗ること。

うち1回は、入浴後に塗るご家庭が多いと思いますが、
入浴後、できるだけ5分以内に軟膏を塗らないと、保湿効果がなくなってしまいます。

途中で良くなったからといって、勝手にやめてしまわないこと。
ステロイド剤を使い始めると、ほんとうにたくさんの
「 しなければいけないこと 」 と 「 してはいけないこと 」 があります (。-_-。)

必ず、医師の診察および、指示のもと処方されたおくすり ( 軟膏 ) を使用してください。

炎症が起きて、かゆみのある肌をそのままにしておくと、
「 かいちゃダメ 」 と言っても、子どもさんはガマンできず、
バリバリとかきむしって、炎症をさらにひどくしてしまいます。。。
寝ているあいだにかきむしることは、親にも止められません。
今回お話した内容は、
ステロイド剤を使って治療を始めたときに、
守っていただきたいことです。


わたしも、以前は 「 反ステロイド派 」 でした。
子どもにはあまり使いたくないと思い、精油や無添加のクリーム、
そして、手づくりの精油軟膏を使用していました。
でも、自然なものでケアをしたときに、1度だけ、限界を感じたことがあり、
炎症が起きている場所 ( 背中全体のひどいアセモ ) に合ったステロイド剤を、
塗る回数と、塗る量、そして塗る期間を、しっかり守ってケアしたことがあります。
とてもきれいに良くなりました。
このときのステロイド剤を使った期間は、1週間です。
( 治ゆまでの期間には、個人差があります )
ステロイド剤だけれど、今回だけ、とわりきって塗りました。
塗ると決めたからには、中途半端で終わらせないようにしました。
だって、このとき子どもは、保育園でぐっすり昼寝をすることも、
家でぐっすり眠ることもできないほど、アセモのかゆみがひどかったのですから。。。
いちばんきついのは、本人です。
そして、夜中に起こされたり、機嫌のわるい子どもをなだめる、家族です。

最初にお話したように、わたしには、考えがいろいろあります。
わたしは、自然なケアが好きだけれど、病院に頼ることがあってもいいと思う。
もし、ステロイド剤を使うと決めたら、約束事を守ること。
ステロイド剤を使って良くなったなら、また普段のケアを自然のものにしていい。
必要なときに、必要な期間だけ、ステロイド剤を使うという選択もあり、だと思っています。
ここでは、ステロイド剤の使用を、積極的にすすめているわけではありません。
かといって、ステロイド剤の使用を、否定しているわけでもありません。
自然なケアを積極的にすすめるわけでも、否定するわけでもありません。
この方法が正しいとか、絶対、ということは、
わたしには言えないからです。。。
ご意見、いろいろあると思います。
ただ、もともと、自然なケアが好きな、ちょっと変わった看護師が、
病院でお仕事をしてきたなかで、これまでとは違うステロイド剤の使い方と、
必要なとき、必要な期間、しっかりケアすることなど、 わたしの目で見てきたこと。
そのことをお伝えしたいと思っただけです。。。









